東京大学荒川教授らと富士通研究所の単一光子発生
2004年7月15日に発表されて大きなインパクトをもたらしたニュースが あります。東京大学先端科学技術研究センター・生産技術研究所ナノエレクト ロニクス連携研究センターの荒川泰彦教授のグループと富士通研究所ナノテク ノロジー研究センターとが共同で、通信波長帯の単一光子を安定的に発生させ たというものです。従来のレーザー光源を利用した方法だと、複数光子の発生 を防ぐために出力を抑える必要があり、そのため光子の無発生(空撃ち)の頻 発が避けられず、高い効率が得られませんでした。今回の技術はそれに対し、 長距離量子暗号通信の速度を、400倍以上に高速化できる可能性があるとい うことです。
元になる量子ドットは、自己組織化的に作成した、高さ2~3nm、直径20nm ほどのものです。そこにレーザーで励起させた電子と正孔とをほぼ確実に1つ ずつ落とし込み、両者を再結合させることで、単一光子を得ます。ごく稀には 2つの光子が発生することもありますが、最初の1つは波長がやや異なるので、 フィルタで取り除くことができます。
あわせて光ファイバーを通過した光を2手に分け、両者の光の受信のタイミ ングを正確に測定できる単一光子受信システムを設計・開発しました。これに より、複数光子の発生は、ほぼ確実に抑えられることが確認できました。
なお、2004年7月に検証した単一光子の波長は1.3μmですが、この値は 量子ドットのサイズや材料により調整することができます。伝送損失が小さく より一般的な通信波長である1.55μmでの伝送にも成功したと2005年5月 に発表されました。今後は、レーザでなくPN接合に電流を流して光子を発生 させること、またその部分の温度を現在の10K(絶対温度)より高められるこ と、などの課題に取り組み、2007年頃に実用化させたい、ということです。
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