数学的モデル化:盗聴の有無の判定原理
実際にやりとりされるデータは、1ビットのみということはありえません。 2章で述べたように量子暗号でやりとりされるものは、暗号化されるべき中味 そのものではなく共通鍵情報なので、映像情報のような膨大なものではありま せんが、やはりそれなりのビット数は持っています。ビット数が少なすぎるの であれば、ダミーで加えてしまっても構いません。
7章で述べたように、十分に大きなビット数に対して一致率を調べることに より、盗聴があったかどうかはほぼ確実にわかります。ただ、一致率を調べる ためには、アリスが持っている情報とボブが持っている情報とを照らし合わせ る必要があります。送るべき情報のすべてを使って照らし合わせたとすると、 今度は照らし合わせのための情報のやりとりを盗聴される危険が生じるので、 意味がありません。ただ、全体情報のごく一部(それでも十分に多いレベル) であれば、それを一般の回線でやりとりしながら一致率を調べても、特に問題 はないわけです。
あるいは原理的には同じことですが、アリスが事後的に、各ビットに対して 白い箱を選んだのか黒い箱を選んだのかをボブに教えることもできます。ボブ はそのアリスの選択と自分の白黒の選択とを比較し、選択結果が一致している ビットの位置とその時の受信信号とをアリスに返します。その部分については、 盗聴がない限り送信信号と受信信号とは一致するはずですから、やはり多数の ビットを調べることにより、盗聴の有無をほぼ確実に判定できます。
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