鍵を秘匿する暗号と鍵を公開する暗号
戦争をするにもビジネスをするにも、欠かせないのが必要なレベルで情報の 秘匿性を保つことです。しかしそうはいっても、味方同士、あるいはビジネス 遂行主と顧客との間などでは情報をやりとりしなければなりません。その場合、 情報を盗み見される危険も当然ついて回るわけです。その危険への対処手段と して、暗号というものが使われるようになりました。
暗号の基本は、送り手が、通信すべき内容を何らかの規則に従って一見わか らない形に変換して送り、受け取った読み手がそれを復元するというものです。 問題はその規則です。その規則が確実に送り手と受け手の間で共有でき、しか もそれが第三者の手に落ちないという保証があるのなら、暗号は比較的容易に 実現できます。その規則通りに変換~復元すればよいのです。もちろん規則を 知らなくても容易に推定できてしまうようなやり方ではダメですが。
ところが、例えばインターネットで情報を送る場合、送り手と受け手の間で 確実に暗号規則を排他的に共有するのは案外と面倒なのです。何しろ電子通信 以外の接触がないのですから。といって、暗号規則をインターネットで送った のでは、それ自体を盗聴される危険が生じてしまいます。
そんな中で出て来たのが、公開鍵暗号です。変換規則は公開するが、そこか ら復元規則は事実上導き出せないという、非常に面白い方法です。ただ、処理 に比較的長い時間を要することがネックです。さらに問題なのは、復元規則は 本当に「事実上導き出せない」かということです。今の計算機では確かに無理 でも、その性能が飛躍的にアップしたり思わぬアルゴリズムが工夫されたりし て、導き出せるようになってしまう可能性もゼロではないのです。
そんなわけで、公開鍵ではなく共通鍵、しかしその共通鍵が正当な送り手と 受け手において確実に共有でき、しかも第三者には盗聴されない。そんな方式 が強く求められているのです。
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