金融機関の生体認証の方式争い
前章でも述べたように、キャッシュカード被害やフィッシング詐欺などの増 加を受け、バイオメトリクスによる個人認証というものが金融機関にとっての 重要な技術となってきています。それでその導入や導入決定が相次いでいるの ですが、大きく2つの方式が台頭しています。一つは11章で述べた「手のひら 静脈認証方式」で、もう一つは10章で述べたのに近い「指静脈認証方式」です。 前者は東京三菱銀行やスルガ銀行が2004年に導入しており、また池田銀行、 広島銀行、南都銀行、瀬戸信用金庫などが導入を決定しています。東京三菱銀 行と経営統合を行う予定のUFJ銀行もこの陣営です。後者は三井住友銀行や みずほ銀行のほか、京都銀行や十六銀行や常陽銀行や福岡銀行、日本郵政公社 などが陣営に加わっています。日立オムロンターミナルソリューションズの 「Leadus AK-1」などが発表されていますが、導入実績としてはやや遅れ気味 です。ただ、十六銀行や常陽銀行などは東京三菱銀行と比較的関係の深い銀行 であり、それにもかかわらず指静脈を採用したということで、こちらを本命視 する見方もあります。さらには信組情報サービスのカードなど、両方式に対応 させるデュアル化の動きもあります。日本郵政公社もこのデュアル化に関心を 示しているという報道もあります。2005年07月12日付朝日新聞でも、全国銀行 協会がデュアル化など含め、規格統一に乗り出すとの報道がされています。
現在、どちらの方式も、他人許容率はきわめて低いのですが、本人棄却率が 0.01%程度といわれています。高い数字ではありませんが、それが金融機関と して許されるレベルなのかというのは1つの課題でしょう。
なお日立グループ(日立ソフトウェアエンジニアリング)は2005年7月、 ICカードリーダライタ装置で実績のあるサクサと共同で指静脈認証を取り入 れた情報端末を開発すると発表しました。医療分野、流通分野、学術文教分野 などでの応用が期待されています。
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