指紋認証の基本
指紋というと遺留品捜査ということを反射的に思い浮かべる人が多いのでは ないでしょうか。確かに現場に残された指紋は、容疑者が犯人であるの動かぬ 証拠になる場合があります。犯罪が絡む小説などを読むと、犯人がいかにして 指紋を残さないよう細心の注意をするか、また任意の参考人から警察がいかに さりげなく指紋をとろうとするかなど、息を呑むような場面もあります。
しかし犯罪科学が進歩する前は、指紋の主な使われ方は、目の前にいる個人 の同定でした。写真入りの身分証明書などない時代、偽名などはいくらでも使 えます。そんな中で、五年前にある名前を名乗った人物と現在それを名乗って いる人物が、本当に同一なのか。その決め手となるのが指紋でした。人権意識 などきわめて希薄な時代、目の前に人がいるのですから、お上の意向で指紋を はっきりと取ることなど簡単です。それも一本の指だけでなく十本全部取りま した。この場合、各指の指紋の全体パターンが渦状なのか弓状なのかといった、 比較的ラフな特徴が主に使われていたようです。それでも十本の情報全部を使 うことで、それなりの個人識別はできたようです。
こんにちの指紋認証では、通常すべての指は使いません。右手の親指など、 一本だけというのが普通です。この場合、ラフなパターンだけではなく、より 詳細な画像処理技術を使って定量的に特徴を抽出することになります。そこで 基本となるのは、指紋を構成する隆線の抽出と、その隆線の端点や分岐点であ るマニューシャ(マイニューシャとも)の検出です。2つの指紋の間で12個 のマニューシャが一致すれば、指紋は同一であると考えてよい、という基準が 長く取られていたこともありました。しかし現在は、マニューシャの間に何本 の隆線が存在するか、などという情報も援用しています。
隆線の抽出は、その近辺の隆線群の大まかな向きを知った上で、その方向の 細線を抽出する二次元フィルタをかけることで行います。その大まかな向きと 異なる線があっても、ノイズとして消去するわけです。マニューシャの検出は、 端点や分岐点を抽出する二次元フィルタをかけることで行います。
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