生体認証にはどんなものがあるか
ここまでの「おおかみと7ひきのこやぎ」の例では、声を中心に話を進めて きました。もちろんこの「声」も、現代生体認証技術の重要な柱の一つです。 しかしそれ以上に実用化されているという意味では、指紋が代表的な例でしょ う。事件現場に残された犯人のものと思われる指紋とその事件の容疑者の指紋 とが一致すれば、疑いは一気に濃くなります。また犯罪捜査ではなくても、自 分が名乗っている人物との同一性を確認するために指紋を用いるというのは、 多少の欠点もありますが、優れた候補の一つといえます。なお、声の中に含ま れている個人の特徴は指紋の連想で声紋と呼ばれます。
別の身体的特徴として、指の中の血流パターンというものがあります。静脈 の形状といってもいいでしょう。機械に指をかざすので一見指紋を読み取って いるようですが、まったく異なる技術です。指紋と違い、実際にその指の中を 血液が流れていないと認証の対象になりません。つまり物騒な話ですが、指紋 なら本人の指を切り取って持ってくればとりあえず使えますし、場合によって は紙にプリントしても何とかごまかせますが、血流パターンはそうはいかない のです。似たものとして手のひら全体の血流パターンがあります。また指紋と 似たものとして、手のひらの皮膚隆線パターン(掌紋)を本人確認に使う手法 もあります。ただ、情報量が大きすぎたりノイズが乗りやすかったりという問 題があります。いわゆる手相が生体認証に使えれば、占いも一緒に出来て面白 いと思うのですが、これはあまり効果的ではないようです。
体のずっと上部にいくと、虹彩というものがあります。虹彩とは瞳孔のすぐ 外側で、そこにある放射状のパターンの違いを読み取るのです。目ではほかに 網膜の血管パターンを使う手法もありますが、目への負担を課題と見る意見も あります。また耳の形状(耳介)も有望です。さらには顔自体の特徴を認識し て本人かどうかを判定しようという技術もあります。これなどは人間が無意識 のうちに行っている生体認証と非常に近い発想ですね。
2006年5月19日には、新たなパーツを使った生体認証についての発表があり ました。ただし対象は人間ではありません。犬や牛を、鼻のパターン(鼻紋) で認証しようというものです。アトムシステムが2006年内の商品化を目指して 手がけるもので、デジタルカメラで撮った動物の写真から鼻紋を抽出します。 それを適当な情報処理して識別情報をデータベース化し、必要に応じて検索す るわけです。哺乳類であればほかの種でもほぼ可能、ということです。
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