生体認証の基本原理
身体的特徴で本人確認する生体認証。そのためにはまず、認証システムの側 で登録された各人の身体的特徴を知っておかなければなりません。ガラガラ声 の狼が戸外で「おかあさんですよ」と言った時に、「本当のおかあさんなら、 声はもっと優しいはずだ」という知識が子やぎたちの側にあるからこそ、狼の 「なりすまし」を棄却できるわけです。
実際にどんな特徴で認識するかについては4章で述べますが、いずれにして も、まず認証の対象となる各メンバーに関して、その特徴をシステムに登録す るということが第一歩となります。これはID~パスワードを使った記憶認証 でも同じですね。IDやパスワードが、システム側で強制的に決められるか、 本人が好きに選べる(IDはすでに使われていたらダメだしパスワードも単純 すぎるとダメといった場合も多い)か、というバリエーションはありますが、 いずれにせよID~パスワードはまず登録する必要があるのです。生体認証で も同じであり、ここまではいわば、認証のための準備段階です。
続いて実際の認証です。これは本人を名乗る主体に、あらためてその身体的 特徴をその場で提示してもらうのです。つまり声に出して「おかあさんですよ」 と言ってもらうのです。システムはそれを、本人のあらかじめ登録された特徴 と比べます。子やぎたちは頭の中で、おかあさん山羊の本来の声(登録された声) と、現在おかあさんを名乗っている主体が出している声とを比較するわけです。 当然その結果は異なります。だから開けない(棄却する)のです。しかし狼の 方もさるもの。詳しくは忘れましたが、何かの工夫をすることで声をずっと優 しくしました。そうなると子やぎたち、もはや声だけで棄却することはできま せん。もっともそれでもすぐには開けず、腕を見せてもらうという、第二の生 体認証に入るわけです。
つまり生体認証の基本原理は、図のように、登録された特徴と現在入力され ている特徴とを比較し、許容(本人と認める)や棄却(本人と認めない)、あ るいはさらなる確認といった意思決定をすることです。
なお、本人確認とは少し違うのですが、現在入力されている身体的特徴が、 すでに登録されている誰と一番近いか(あるいは誰ともはっきり異なっている か)を決定する作業も、生体認証に入れる場合もあります。ただ、煩雑を避け るため、本資料では基本的に、自分が本人だという主張を認めるかどうか、と いうことに絞って話を進めます。
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